唾液ってすごい!100のチカラ

お口の中に当たり前にある唾液が、実際にどんな役割を果たしているのか?あなたはご存知ですか?唾液は私たちが想像する以上に多くの働きを持ち、お口や体の健康維持に一役買っているのです。
今回は、普段あまり注目されることのない唾液にスポットを当て、その秘めたるパワーをあなたにご紹介していきたいと思います。

唾液に秘められた10のチカラ

お口の中で分泌される唾液は、99%以上が水分でできており、残りの1%ほどに消化や殺菌、免疫に関わる成分が含まれています。1日に分泌される量は0.5~1.5リットルで、「耳下腺」「顎下腺」「舌下腺」の3大唾液腺のほか、唇や上あごに存在する「小唾液腺」から分泌されます。その唾液を細かく調べていくと、10通りもの作用を持っていることが分かっています。

 

しかし、これらの10の作用をただ目にするだけでは、具体的にそれらがどう働くのかが見えてきません。実はこの10の作用は大きく分けると「食事をサポートする働き」「お口の健康を守る働き」「体の健康を守る働き」の3つの働きに分類することができます。では、唾液の持つチカラを、働きごとに整理しながら、もう少し詳しく解説していきます。

 

唾液の働き①食事をサポートする
消化作

唾液アミラーゼ(プチアリン)がデンプンを分解する

溶解作用

食べ物の味を感じやすくする

円滑作用

食べ物を柔らかくし、飲み込みやすくする

 

食べ物はお口の中で細かく砕かれ、食道を通って胃に運ばれます。唾液には食べ物を柔らかくし、さらに、お口や食道を滑りやすくして食べ物を飲み込みやすくする働きがあります。また、お口は消化器官としての役割も担っており、唾液にはデンプン(炭水化物)を分解して糖(麦芽糖)に分解する「アミラーゼ」という消化酵素も含まれています。

そして、食事をするうえで重要なのが、食べ物をおいしく感じる「味覚」です。私たちの舌には味蕾(みらい)という組織があり、その味蕾が味成分をキャッチすることで甘みや塩味、苦みなどの味覚を感じています。その味成分は食べ物から唾液の中に溶け込んで味蕾へと取り込まれていきます。つまり、食べ物が唾液と混ざり合わないと、私たちは食べ物のあじを感じることができないというわけです。

 

唾液の働き②お口の健康を守る
自浄作用

食べかすやプラークを洗い流す

粘膜保護作用

お口の粘膜を保湿・保護する

再石灰化作用

エナメル質に表面を修復する

ph緩衝作用

虫歯菌の「酸」を中和する

 

唾液は、まさに「天然のクリーニング剤」と呼ぶのにふさわしく、お口の中の食べかすやプラークをきれいに洗い流してくれます。また、お口の中は食後、虫歯菌が流出する酸によって「酸性」になりますが、唾液にはその酸を中和する緩衝(かんしょう)作用を持っています。この唾液の緩衝作用が「酸性」いなったお口の中をちゅうわして、元の「中性」へと戻していきます。

さらに、カルシウムやリンなどのミネラルを豊富に含む唾液は、虫歯菌の酸によって溶けだいたエナメル質を修復する機能も備わっています(再石灰化作用)。唾液は、自浄作用、緩衝作用、再石灰化作用の3つの働きで、私たちの歯を虫歯から守ってくれているのです。

唾液はさらに「ムチン」というたんぱく質が含まれており、このムチンがお口の中の粘膜を覆って外部からの刺激や乾燥から守ってくれます。

 

唾液の働き③体の健康を守る
殺菌作用

細菌の感染を防ぐ

老化防止

成長ホルモン「パロチン」が筋肉や骨、歯などの発育を促進

活性酸素抑制作用

食品中の活性酸素を減少させる

唾液には、ラクトフェリンや免疫グロブリンをはじめ、リゾチーム、ペルオキシターゼなどの抗菌成分が含まれています。これらの抗菌成分が細菌の侵入から私たちの体を守っています。
また唾液には若返りホルモンとして知られる「パロチン」という物質のほか、食品の活性酵素を減少ペルオキシターゼやカタラーゼなども含まれています。

 

唾液をたくさん出して、お口や体を健康に

 

唾液は、実に多くの働きをもち、私たちのお口や体の健康に貢献してくれています。その唾液が少なければお口の中が乾いて会話や食事がしづらくなったり、食べ物の味が感じにくくなったりなど、日常の生活にも支障をきたすようになります。また、虫歯や歯周病、風邪やインフルエンザなどの感染症にもかかりやすくなってしまうでしょう。
唾液は私たちの普段の食生活を少し工夫するだけで、その分泌をうながしていくことができます。唾液をたくさん出して、お口や体の健康を維持していきたいですね。

しっかり噛むのが一番

唾液をたくさn出す方法としては、とにかくよく噛んで食べることに勝るものはありません。近年は日本でも柔らかい食品を好む傾向が強くなり、食べ物を噛む機会が少なくなったといわれています。
しかし、よく噛んで食べることは唾液をうながすほかに、栄養を吸収しやすくしたり、脳を活発に働かせたりなど体に様々な良い効果をもたらしてくれます。1食の食事のうち、1品は歯ごたえのあるメニューを加え、ゆっくりよく噛んで食べる食習慣を心掛けたいですね。

朝ごはんを必ず摂りましょう

唾液は食事をするとその分泌が活発になります。特に、朝食は1日の唾液分泌のリズムを整えるうえで非常に重要で、朝食を抜いてしまうと分泌リズムが乱れ、1日を通してお口の中が乾きやすくなってしまいます。1日3食を規則正しく摂り、唾液の分泌をうながしていきましょう。

唾液の分泌に良い食品を取り入れる

食品の中には、唾液の分泌をサポートするものがあります。これらの食品を日常的に取り入れ、唾液の分泌をうながしていきましょう。

  • ●レモンや梅干しなどの酸味のあるもの
    レモンや梅干し、酢の物など酸味の強い食品は、お口の中を刺激して唾液の分泌をうながしていきます。
  • ●昆布
    昆布に含まれる「アルギン酸」や「グルタミン酸」が唾液の分泌をうながします。
  • ●納豆
    納豆のネバネバ成分である「ポリグルタミン酸」には唾液の分泌をうながす効果があります。近年ポリグルタミン酸はドライマウス治療にも応用されています。
  • ●ガム
    ガムは味による刺激と噛むことの刺激によって、唾液の分泌を活発にしていきます。

 

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