2024/10/07
歯ぎしりって問題ないの?
保険適応のむし歯治療に使われている銀歯。
この銀歯の材料には、金12%・パラジウム20%・銀・その他銅や亜鉛などが含まれている、
“金銀パラジウム合金”(略して金パラと呼ばれます)が使われています。
耐腐食性や強度にすぐれているため、銀歯、保険診療のクラウン(かぶせ物)、インレー(詰め物)、
ブリッジ等にも使われています。現在の保険用金属の規格が定められたのは1960年頃で、当時は安価で
手に入る金属だったようですが、近年の金の価格の高騰や、パラジウムの価格急騰により、
金銀パラジウム合金の価格が高騰しています。
なぜパラジウムの価格が急騰しているのかというと、環境を守るため、世界で進められている
自動車の排出ガス規制の影響によるものなのです。
自動車には、排出ガス中の有害物質を取り除くための装置が組み込まれており、この装置を作るためにパラジウムが
使われています。もともと供給量も限られている中、パラジウムの大半はこの装置に使われており、排ガス規制によって
世界各国でパラジウムの需要が拡大したため、価格が高騰しているのです。
パラジウムは、アクセサリー(指輪)など、プラチナと似ているために、割材として使われていましたが、
現在は価格高騰によりメリットがなくなり、使われなくなっています。
歯科医院でも、最近では逆ザヤ(材料になる金属を仕入れた時の価格よりも診療報酬として支払われる価格が低く、
赤字になる状態)が続いています。
歯科医院では、銀歯の材料になる金属を市場価格で購入した後、その金属を銀歯に加工して患者様に提供しています。
しかし、歯科医院が銀歯を使用する治療をして得られる材料費は公定価格で定められた金額のみです。公定価格は市場価格に
合わせて定期的に調整されていますが、現在は実際の市場価格と公定価格に大きな差が出ている状態です。
つまり、市場価格が高騰したことで銀歯治療をするたびに赤字になっていく。という状態になっています。
パラジウムの需要増加で、投機の対象となることによって、今後も価格が高騰していくのではないか。と懸念されています。
この材料問題が早期に解決されることが望まれます。
医療法人 すが歯科クリニック
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