2024/10/07
歯ぎしりって問題ないの?
当たり前のように行う日々の歯磨き。でもその「歯磨き」が間違った認識で行われているかもしれません。まずは次のチェック項目を、普段行っているケアと照らし合わしてみましょう。
□1.汚れが落ちやすい『硬めの歯ブラシを好んで使う
□2.歯を磨く時に『歯ブラシ』しか使っていない
□3.むし歯・歯周病をしっかり予防するために、一日に何度も歯を磨く
□4.歯を磨いた後は、口をしっかりゆすぐ
□5.「手磨きよりも“磨き残し”が少ない」という理由で『電動歯ブラシ』を使用している
これらの項目は、すべて「歯磨きで誤解されがちなこと」の例です。あなたがもし、1つでも当てはまる項目があるなら注意が必要です。では、それぞれの項目のどの点に問題があるのかを、詳しく説明していきます。ぜひ、あなたの毎日のケアに参考にしてください。
歯磨きの目的は、歯に付着した汚れ『プラーク』と呼ばれる“細菌の塊”を落とすことです。むし歯や歯周病を引き起こす原因菌は、ともにプラーク内に生息し、その表面に『バイオフィルム』という膜を張りめぐらして自らの身を守っています。
このバイオフィルムは、私たちの生活の身近なところにも存在しています。例えば、台所やお風呂などの排水溝に付着する“ぬめり”、これも代表的なバイオフィルムの1つです。洗剤を塗布しただけでは落とせないこの“ぬめり”はブラシなどで物理的な力を加えるしか取り除く方法がありません。
だからといって、硬いブラシをゴシゴシ当ててしまえばどうなるでしょう。確かに汚れは効率よく落とせますが、その代償に磨いた表面には無数の傷がついてしまいます。
歯磨きも『硬め』の歯ブラシで歯をゴシゴシ磨いてしまうと、これと同様のことが起こってしまいます。『硬め』の歯ブラシは汚れ落ちが良い一方で、歯や歯ぐきを傷つけて思わぬトラブルを招きかねません。
したがって、歯や歯ぐきに特に異常がない場合には、歯ブラシは『ふつう』の硬さを選ぶようにしましょう。ただし、歯ブラシの硬さはメーカーによっての異なるため、自分に適した硬さがわからない場合は、歯科医やスタッフに相談するといいでしょう。
歯磨きの代表的な清掃器具である『歯ブラシ』ですが、実は歯ブラシで落とせるプラークは、お口の中の全体の61.2%に過ぎないことが報告されています。歯ブラシは、表に見える表面のプラークには有効である一方,「歯と歯の間」「歯と歯ぐきの境目」といった見えない部分にはブラシの先が届きません。
このような細かい汚れを落とすのに効果的なのは、『デンタルフロス』や『歯間ブラシ』といった歯間清掃器具です。実際に、これらを歯ブラシと併用した場合、プラーク除去率は80%ほどにまで向上することがわかっています。
“過ぎたるは及ばざるがごとし”ということわざがあるように、歯磨きも適度に行うことが肝心で、『やりすぎ』はかえってデメリットのほうが多くなります。
「歯ブラシの硬さ」の項目でもお話したように、物理的な力を使って汚れを落としていく歯磨きは、磨いている歯や歯ぐきにもその力が加わります。過度な歯磨きによって歯が削れてしまったり、歯ぐきが傷ついたりするようでは、むし歯や歯周病に対する抵抗力をかえって弱めてしまうことになるので注意しましょう。
歯磨きは1日3回。忙しい方でも最低2回を目標に行うのが理想的でしょう。どのタイミングで行うかは、あなたのライフスタイルによって異なりますが、1日の中で歯磨きに力を入れてほしいのは、“寝る前の歯磨き”です。
就寝中は、唾液の分泌が減少するため、細菌が最も繁殖しやすい時間帯となります。その対策として、就寝前の歯磨きは1日の中でも特に念入りに行うように心がけましょう。
これまでの歯磨きは、「歯を磨いたあとは、お口をブクブクゆすいで洗い流す」というのが一般でした。しかし、様々な薬用成分が配合された歯磨き剤が市販されるようになった近年においては、その成分をお口の中に残したほうが効果を得られやすくなります。
特に“フッ素配合”の歯磨き剤では、歯磨き後のゆすぎについて「10~20㎖(おちょこ一杯程度)の水で一回のみ」と各メーカーは推奨しています。また、液体歯磨きの場合は、基本的に“歯磨き後のすすぎ”は必要ありません。
ただ、歯磨き剤の中には『発泡剤』や、『界面活性剤』など、お口の粘膜に対して刺激が強い成分が含まれるものもあります。したがって、薬用歯磨き剤をより有効に使いたい場合には、できるだけ刺激の少ない歯磨き剤を選んでいきましょう。
また、「ゆすがないと気持ち悪い」と感じている方の場合、はじめに“歯磨き剤なし”で歯を磨き、最後の仕上げに歯磨き剤を少しだけ使うのも1つの方法です。もしくは歯磨き後に使用する『洗口液』を毎日のケアに取り入れてみるのもよいでしょう。
ブラシヘッドが自動で動く歯ブラシは、“高速回転”や“音波水流”など各メーカーから様々なタイプのものが販売されています。その一方で、「電動歯ブラシは手動の歯ブラシよりも磨き残しが少ない」と誤解している方も多いようです。電動歯ブラシが優れているのは、“効率の良さ”であり、同じ量のプラークを落とす場合に“手動よりも早く落とせる”点がメリットとなります。歯ブラシは手動であれ電動であれ、ブラシがきちんと歯面に当たらない限りプラークを落とすことはできません。つまり、電動歯ブラシであっても正しくブラッシングが行われなければ、手磨きよりも磨き残しは多くなってしまうので注意は必要です。
電動歯ブラシを使用する場合は、手動歯ブラシと同様に、まずはブラシを歯面にしっかりと当て、1本ずつ丁寧に磨いていくことを心掛けましょう。
ご自宅での日々の歯磨きは、むし歯や歯周病予防には何よりも大切です。正しい「歯磨きのしかたをマスターしてあなたの大切な歯を守りましょう。とはいっても、日々のセルフケアに限界があるのも事実です。セルフケアに加え歯科医院での定期的な検診が大変重要です。3~6ヶ月に一度はプロフェッショナルケアもあなたの大切な歯を守るためには欠かせないのです。
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