歯周病が食道がんのリスクになることがわかりました

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食道がんと歯周病菌の関係についての研究結果が発表され、歯周病菌のひとつである

A.a菌(アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス菌)が食道がんの危険因子となり、

約6倍発症しやすくなることがわかりました。

食道がんは消化器がんの1つで、早期の診断が難しく、生存率が低いことが特徴だとされています。

日本で1年間に食道がんにかかる人は約28500人いると言われています。

発症する年齢は60~70歳代が最も多く、全体の年代の約7割を占めており、

男女比では男性に多く、女性の5倍とされています。

また、食道がんが発生する要因は飲酒と喫煙だと言われており、飲酒と喫煙両方の習慣がある場合は、

がん発生のリスクが上がることが知られています。

 

一方歯周病は、歯と歯茎の間から侵入した細菌が歯茎の炎症や出血を起こし、

歯の周りの歯周組織を破壊し骨を溶かしてしまう病気です。むし歯と違って痛みが出ないことが多く、

症状が少ないので気が付きにくい疾病ですが、歯を失う最大の原因であり、

日本人の約80%の人がかかっていると言われています(歯肉炎を含む)。

歯周病は歯磨きが不十分になることで、歯垢・歯石(プラーク:細菌のかたまり)が作られ、

歯周病菌が歯垢の中で増え続けることで炎症を起こし、歯を支える組織を破壊していくことで起こります。

 

今回発表された研究は、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の教授らの研究グループが発表したもので、

同大学の消化器外科に入院している食道がん患者61名と非がん患者62名の口腔内の検査を行ったものです。

 

歯周ポケットの平均と、歯茎からの出血の割合(平均)を検査した結果、

食道がん患者のグループでは歯周病の状態が有意に悪いという結果がでまでした。

 

また、唾液と歯垢(プラーク)を採取したサンプルから、口腔細菌を検査すると、

歯周病菌が食道がん患者のグループでは有意に高く検出されました。

特に、A.a菌(アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス菌)が検出されたのは、

食道がん患者のグループで16名、非がん患者グループではわずか1名のみ。という結果でした。

 

これらにより、歯周病菌A.a菌が食道がんの危険因子となり、発症しやすさは5.77倍。

という研究結果が発表されたのです。

 

食道がん発生の要因となる飲酒・喫煙は歯周病にも深くかかわりがあります。

歯周病に対する喫煙のリスクはとても大きく、喫煙者は歯周病になりやすく、

ひどくなりやすく、治療しても治りにくいことがわかっています。

①ニコチンにより歯ぐきの血行が悪くなること

②細菌と戦うための働きが減少し免疫力が低下し歯ぐきの抵抗力が弱まること

③唾液の分泌が低下し、プラークが付きやすくなってしまうことが原因です。

お酒を飲むことで歯磨きがおろそかになると(飲酒後歯磨きせずに寝てしまう等)、歯周病は悪化します。

慢性的に多量の飲酒をしている場合には、免疫機能や唾液分泌低下、口腔衛生の低下といった悪影響も起こります。

 

今までにも、歯周病は糖尿病・認知症・脳梗塞・心臓病・動脈硬化・早産等、

全身の様々な病気と深いかかわりがあることが指摘されてきましたが、今回の研究ではがんとのかかわりも明らかになりました。

 

歯周病予防には、毎日行う歯磨きと、定期的な歯科受診による歯石除去が効果的です。

しかし、歯周病になった場合は歯科医師・歯科衛生士による、より専門的な歯の清掃を行うことが必要となります。

 

お口の中の健康を維持することは、全身の健康を維持することにつながります。

普段の歯磨きなどのセルフケア、歯科医院でのメンテナンスを行うとともに、

生活習慣・食習慣の改善に注意していきましょう。

 

医療法人凌和会 すが歯科・矯正歯科

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