2024/10/07
歯ぎしりって問題ないの?
ロシアのウクライナに対する軍事侵攻により、歯科治療にも影響が出てきています。
歯科治療で使用される銀歯の材料となる、金属・パラジウムの価格は、
環境問題が影響し近年価格高騰が続いていましたが、軍事侵攻の影響をうけてこれまで以上に高騰しているのです。
〇銀歯の材料として使用されている希少金属“パラジウム”
保険適応の歯科治療で使用される銀歯は、金・銀・パラジウム・その他銅や亜鉛などが含まれている
“金銀パラジウム合金(略して金パラと呼ばれます)”が材料として使われています。
加工しやすく、耐腐食性や強度に優れており、銀歯だけでなく保険診療のクラウン(かぶせ物)、
インレー(詰め物)、ブリッジ等にも使われており、歯科治療には欠かせない材料となっています。
保険診療による規定が決められた頃は、安価で手に入る金属だったようですが、
近年ではパラジウムの価格急騰により、金銀パラジウム合金の価格は高騰が続いているのです。
〇なぜ、パラジウムの価格上昇が続いているの?
パラジウムは、希少金属です。その多くが、自動車の排出ガス中の有害物質を取り除く装置を
作るために使われており、その他銀歯、電子部品の材料、宝飾品等にも使われています。
もともと供給量も限られている中、世界的に進められている自動車の排出ガス規制の影響で
近年パラジウムの価格上昇は続いていましたが、さらに今回のロシアの侵攻による影響で追い打ちを
かけられるような形で価格が高騰しているのです。
ロシアは、パラジウムの世界の生産シェア約40%を占めており、経済制裁への対抗措置として、
パラジウムの供給も減らす可能性があるのではないか、
といった懸念が市場で高まっていることが価格高騰に影響していると考えられています。
〇歯科治療への影響
実際に、歯科医院での金パラの仕入れ価格も上昇しています。高騰した市場価格で材料を購入して治療を行っても、
保険診療では決められた金額の材料費のみ得られることになっていますので、
市場価格との差は赤字となってしまいます。
高い金額で仕入れた商品を仕入れ価格よりも格安で売りに出しているお店のような状態です。
この市場価格との差をうめるため定期的に保険点数の改定があるのですが、
現時点では市場価格上昇の速度に追い付いていない状態で、この差がかなり大きくなってきているのです。
つまり、銀歯治療をするたびに赤字になっていく状態なのです。
しかし、歯科医は様々な条件から「患者様にとって最適と考えられる」と
判断すれば金銀パラジウム合金を使用しての治療を行うことになります。
近く、保険点数の価格改定がありますが、このままパラジウムの価格高騰による保険点数の改定が続いていくと、
患者様の負担の増加にも繋がっていく懸念もあります。
様々な要因から、今後もさらに価格高騰が続くのではないかと考えられているパラジウム。
はやく、この問題が平和に解決されることを願っています。
医療法人凌和会 すが歯科・矯正歯科
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